前頭側頭型認知症の症状
初期には認知症の中核症状である記憶障害や見当識障害はほとんど現れませんが、このタイプ特有の症状があります。
脱抑制(だつよくせい)
人格変化といわれることもありますが、理性や自制心を司(つかさど)る前頭葉が侵されることから、本能のままに万引きや痴漢など犯罪行為をおこなってしまうといった症状です。周囲への配慮や遠慮がなくなり粗暴な言動が現れることもあります。
過ちを指摘されても理解できず、むしろ怒り出してしまうこともあります。このような反社会的行為によって前頭側頭型認知症が発見されることもあります。
感情等の変化
早い時期から感情の変化が現れ、周囲の人と共感することが難しく感情が乏しくなります。注意力や集中力も低下し落ち着きがなくなります。
関心がなくなると勝手に出ていく「立ち去り行動」が現れる場合もあります。特に何もなくても機嫌が良い時と不機嫌な時があります。
常同行動(じょうどうこうどう)
聞き慣れない言葉ですが、同じ内容の話や言葉を繰り返したり、同じ場所を行ったり来たりするというように、決まった時間に決まった行動を繰り返すという症状です。
反復行動と呼ばれることもあります。身体を揺すり続ける、手を叩く、膝をこするといった行為を延々と続けることもあります。
言葉の障害
何かを言われても言葉の意味がわからなくなることがあります。言葉を間違えたり物の名前が出てこない等です。
介護する時に「○○しますね」と声をかけてもその意味が理解できない場合があります。
食行動の異常
過剰な量を食べたり介護者の目を盗んで食べたり、味の好みが変わって甘い物や濃い味つけの物を好むようになることもあります。
また毎日決まった物を食べたがることもあります。
この他にも、周囲に影響されやすくなる、自発性が低下し自分から何もしなくなる等の症状が挙げられることもあります。
また自分が病気であるということを自覚していない(病識がない)ことが普通です。
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