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自立と自立支援

自立支援と自律

自律という考え方

 介護分野における自立支援には、概ね3種類の考え方があります(⇒ 介護における自立支援)。そのうちの一つが、「利用者の選択権を尊重し、自立というより自律を重視する」という考え方です。
 自立と自律、読みはどちらも「じりつ」ですが、意味合いが若干異なります。kaigo_kurumaisu自立というのは「他に従属せず、他からの支配や助力を受けずに存在する」という意味です。自律も似たような意味ですが、「自分自身の規範に従って生活する」という意味が加わるようです。
 このことから介護分野では、「自立は身体機能やADLが自立していること」であり、自律の方は「身体機能やADLは自立していなくても、選択権が尊重され、自分の意思で行動や生活ができること」というように解釈されることが多いようです。
 例えば、介護を必要としている人の場合、介護なしで生活する(自立する)ことはできなくても、自分の意思でさまざまな選択をしながら生活することができれば、自律的な生活であると考えるというような考え方です。このような考え方は決して間違いではありませんが、機能やADLの自立性を回復する可能性が残されているのであれば、まずはそのことを目標とすべきではないでしょうか。

ADLの自立とのバランス

 もちろん、機能やADLを回復するためには非常な困難や苦痛が伴うというような場合は、それらとのバランスを考慮する必要があります。また、機能やADLを回復する可能性が無いか、極めて可能性が低い場合には、自律すなわち介護等の支援を受けながら生活する中で、選択権の尊重を重視するという考え方が優先されるべきでしょう。
 例えば、進行性の神経難病等の人の場合等、その病状や進行状態によっては当てはまる場合があると思います。さらには、終末期ケア(ターミナルケア)では、機能やADLを回復することにはあまり意味がない場合があるでしょう。

可能ならADLの自立を目標に

 介護の目標は人によって異なります。介護目標も個別に細かく設定されます。そのため、ADLの自立を目標とすべきか否かといった大雑把な議論は、本来あfufu_engawaまり意味がないのですが、目標を考える際の根本的なポリシー(方針)としては、考慮する必要があるといえます。
 そのことを前提としていえば、介護における自立支援とは、「身体機能の改善やADLの自立性を回復する可能性があればそれをめざす、それが不可能あるいは意味が少ない場合は自律的な生活を支援することを目標とする」というのが正しいのではないかと思います。

状態により判断する

 これらは二者択一的なものではなく、その人の状態や状況によって、目標や優先すべき事柄が少しずつ異なり、それぞれ程度が異なるものだと思われます。
 簡単な例を挙げると、ある人はADLの完全な自立は困難でも排泄の自立は可能であり、それを一つの目標としつつ、介助を受けざるを得ない部分については、本人の意向を尊重しつつ介護するというようなことがあるでしょう。
 いずれにしても、自立と自律を対立的に捉えて議論するより、利用者の状態から具体的な目標や介護方法を考えることが重要だといえるでしょう。

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