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自立と自立支援

ADLの自立とQOL

ADLの自立性は回復できる

 介護分野における自立支援には、概ね3種類の考え方があります(⇒ 介護における自立支援)。そのうちの一つが、ADLの自立性を重視する考え方です。
 この考え方の根底には、kaigo_rehabilitation「高齢者の自立性は、一旦失われても回復できるケースが多い」という認識があります。例えば、脳卒中の後遺症で片マヒがあるという人の場合、リハビリをしてある程度回復したとしても、程度の差はあれマヒが残ることは多いでしょう。このような高齢者が退院すると、一日中寝たきりの生活を送るという場合があります。  しかしながら、このような高齢者が寝たきりの生活を送っているのは、マヒが原因であると考えるのは間違いだということを知る必要があります。

マヒがあっても寝たきりにはならない

 マヒは寝たきりの“きっかけ”にはなりますが、“原因”にはなりません。
 このことは、若い身体障害者のことを知っていれば、容易に理解することができます。仮に、脊椎損傷等の重い障害で下半身がマヒしていても、寝たきりの生活をしている障害者より、車いす等を活用して活動的な生活を送っている人の方が多いと思います。介護関係者であれば、そのような人と接した経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
 介護関係者でなくても、4年に1度のオリンピックと同時開催されるパラリンピック等で、障害を抱えた人が活躍している姿を見れば一目瞭然です。あるいは、周囲を見回してみると、障害があっても仕事や社会活動などで活躍している人がいるかもしれません。それでは、先のマヒがある高齢者はなぜ寝たきりの生活を送っているのでしょうか。

寝たきりの原因は廃用症候群

keirou_family 高齢者の寝たきりの多くは、マヒが原因ではなく、活動性が低い生活を続けることで、さまざまな機能が低下してしまう「廃用症候群」が原因であると考えられます(⇒  介護に不可欠!「廃用症候群」の知識
 介護の力では、マヒを改善することは困難ですが、廃用症候群は活動的な生活を取り戻すことで改善が可能です。言い換えると、寝たきりというADLの自立性が極めて低い状態から、ADLの自立性を回復することが可能だということです。
 ADLとは人が産まれてから徐々に獲得していき、自立していくものです。障害がない成人であれば自立しているのが本来の姿です。そのため、何らかの原因で(例えばマヒがきっかけとなり、廃用症候群が原因で)、ADLの自立性が損なわれた場合、回復できる可能性があるのであれば、まずその回復をめざすことを目的とするのは当然だといえるでしょう。

 自立支援介護理論は、このような考え方を基本にして、利用者のADLの自立性回復をめざし、その結果としてQOLの向上をめざす介護の方法論であるといえます。

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