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神経難病と介護

筋委縮性側索硬化症(ALS)の介護

 ALSは進行性の病気で、嚥下障害、言語障害、運動障害、呼吸障害等が現れるので、胃ろう、中心静脈栄養法、薬物療法、吸引等が必要になり、延tokozure_nurse (1)命のために気管切開して人工呼吸器を装着することが必要になることもあります。そのため、厳格な医療的管理が必要であり、医療機関との緊密な連携が必須(訪問診療・訪問看護・緊急時の対応等々)です。
 また、介護者にも病気についての専門的な知識と、高い専門技術が要求されます。その内容を簡単に記すと以下の通りです。

嚥下障害への対応

 飲み込みが悪くなり、むせることが増えてきた場合には、言語聴覚士による嚥下の評価・指導を受け、食事の形態の工夫や嚥下方法の工夫などおこないます。
 食物のiryou_irou形態を工夫(ピューレ・とろみなど半固形や冷たいものが飲み込みやすい)して、食べる時も、少量ずつ口に入れる、顎を引いて飲み込む、食事中や食後はできるだけ上体を起こしている等が必要になります。また、少量で必要な栄養がまかなえるように高カロリー、高蛋白の食べ物を中心にするのが基本です。
 病状が進行し、口から食べることが難しくなった場合は、胃ろうの造設をすることもあります。胃ろうを造設すると、造設後に呼吸状態が急に悪化することがあるため、呼吸状態があまり悪くならないうちに手術をおこなう必要があります。
 さらに消化機能が低下して胃ろうでの栄養摂取も難しくなってくると、中心静脈栄養という栄養摂取が必要になります。また、嚥下障害が出始めると口腔内の吸引が必要になることが多く、病気が進行すると気管内までの吸引が必要になります。

ADL低下への対応

 下肢の障害によって歩行困難になると、杖や補装具、段差の解消や手すりの設置などの住環境整備によって、できる限りADLの自立性を維持する必要がありますが、廃用症候群による場合とは異なり、病気の進行に伴って、確実に全面的な介護と、車いすを使用することが必要になります。

コミュニケーション能力低下への対応

 症状が悪化して会話が困難になってくると、言語聴覚士の評価と指導を受けることが多いのですが、それでも言葉によるコミュニケーションが難しくなった場合は、動きの残っている指や眼球運動を利用して、文字盤を使用してのコミュニケーションをとるという方法があります。
 文字盤を使うことで簡単なコミュニケーション(「はい、いいえ」「足が痛い」「テレビをみたい」など)が可能になります。また、長い文章で意志を伝えるためには、パソコンを使ってkaden_laptopコミュニケーションをとるという方法もあります。
 自分の意志を思うように伝えられず、塞ぎ込んだり、精神的に不安定になったりしていた状態から、意志伝達装置の使用によって、精神状態が改善されたという例もあるので、可能であればこのようなコミュニケーション方法を検討すると良いかもしれません。
 意志伝達装置を購入する場合、身体障害者手帳の障害名が「上肢および下肢機能障害1級」と「言語機能障害3級」の場合は日常生活用具として給付を受けることができます(所得に応じた自己負担金がある)。自治体によっては、この条件を満たさなくても給付が受けられる場合もあるので、問い合わせてみると良いでしょう。

人工呼吸器の対応

 病気の進行によって、呼吸障害が現れると、人工呼吸器の装着を検討することになります。人工呼吸器は、気管に穴を開けて、カニューレという管を入れる人工呼吸器手術(気管切開)をしてから装着します。
 人工呼吸器装着後は、人工呼吸器のメカニズム、トラブルの対処法、気管内吸引の方法や気管カニューレの処置などについて、約1ヶ月程度、医師や看護師からの指導を受ける必要があります。
 特定疾患治療研究事業を申請すれば、人工呼吸器の使用により医療費の負担が増えることはありません。
 また、停電や災害等に備えて外部バッテリーを購入する必要がでてきますが、少ないですが、これらの購入費用を補助する制度がある自治体もあります。
 人工呼吸器を装着しない場合は、呼吸困難に対する対処法などを決めておくことが必要になります。

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